
旅行記(その2) 【1日目】役場。喜界島酒造。|
【役場】 |
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役場に到着。ちょっと迷う。役場は得てして突然の観光客を歓迎しない(というか相手にしない?)ものだ。今まで行ったうち、50%はそうだった。ちょっと迷いつつも、「まあ、メールでは快くかつ親切に質問に回答してもらったのだし、お礼だけ言って行こっと」とその迷いは私の足を前に進めることとなった。役場の建物は建設時期が異なるのか大きく2棟に分かれていて、私が向かおうとした企画観光課は駐車場から歩いて奥の方にあった。ズカズカズカと乗り込む。「すいませ〜ん。旅行で来たんですが、色々と教えていただけますか?」企画観光課からは綺麗な女性が出てきた。「え、え〜っと。。。。。。Uさ〜ん」と、その若い女性は奥に行ってしまった。ちょっとしてその後ろから出てきたのは、非常に人のよさそうなお兄さん。「こんにちは。喜界島に観光で来たのですが、色々と教えていただけますか?」僕の質問は、非常に曖昧でつかみ所がなかったと見える。ちょっと困ったような顔で「ここ、ここにパンフレットがありますのでぇ」 うーん、このパンフレットは家にいるときから見ていたんだよなあ。「何か、おいしそうな料理を食べられるお店とか、教えていただけますか? お兄さんの眼がキラリと輝いた。そして、おもむろに1枚物の紙を持ってきていくつかの場所に赤丸をつけた。「ここが、山羊料理でおいしい だいせん。 ここは豚のステーキがおいしい喫茶クボ。そして・・・・」いくつもの名前が連続で出てきた。迷う。これから、喜界島でできる食事の回数は朝御飯を除けば4回。さーて、どこに行こうか それを考えさせる説明であった。どこも美味しそう! 「あのー。私、数日前にメールで質問をした者なんですが。。」 お兄さんの顔が一瞬だけ曇り、そしてすぐ晴れた。「あー!そうでしたか。私が返事を書いたUです!」 |
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「他に見るところでおもしろいところ」を聞くと、「ウフヤグチ鍾乳洞ですね!」との答え。「なかなか道が分かりにくくて。。。」と言いつつ細かい地図を出してマーカーペンでつーっと道をなぞって具体的に説明してもらった。人に道を聞くと、近いところは別として大抵の場合、「○個めの信号を右に曲がって、△個めの通りを左に入って▽分くらいして◇軒め」といった感じで教えてもらえる。しかし、僕は「〜△個めの通りを〜」のあたりでもう内容を聞いていない。人の記憶は曖昧だし、島の人は"感覚"で場所を覚えているからだ。 でも最後には、「わかりました。ありがとうございます。」 また近くに来たら誰かに聞けばいいや! 根掘り葉掘り聞いたにもかかわらず、Uさんは快く答えてくださった。確か、Uさんは喜界島について「何もない」とはおっしゃらなかったはずだ。島の人に島のことを尋ねると「何もないけど。。。」という枕詞で始まることがすごく多いが、Uさんの態度は私にはひどく新鮮で頼もしく感じた。 「では、記念に写真を撮らせていただいてよろしいでしょうか?」「えっ?わ、わたし?」 「みなさんも入ってください。ぜひぜひ。(せっかくだから、最初に話をした女性にも入ってもらえるといいな〜)」 <注:()内は私の内心> Uさんは課の人に声をかける。 みんな、笑っているけれど恥ずかしいのか遠慮気味。最初に応対してくれた女性は私を見て迷っている様子。 「みなさん、どーぞどーぞ!(あなたも是非写真に入ってください。旅に出て綺麗な女性のひとりも写真に撮りたいなぁ。。。)」<注:()内は私の内心> ひとりでフレームに入るのが嫌そうなUさんは女性を手招きする。「えーいいんですか?私でも?」「さー撮りますよ!並んでくださいっ!(ラッキー!Uさんはフレームから外しちゃおうかな。) 『カチッ』ハイッ!ありがとうございました。」<注:()内は私の内心> |
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深くお礼を申し上げ、企画観光課から立ち去った。 出口までの間に特産品のカウンターがあり、黒糖焼酎・黒糖豆・ザラメ黒糖・ゴマなどが並んでいた。「年間仔牛出荷1000頭記念焼酎」のラベルの手作り感が良かった。 |
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【喜界島酒造】 |
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喜界島酒造に向かおうかどうか迷う。なにせ何の連絡もしていない。 しかし探してみるとあっさりと見つかった。車をおもむろに止めて、近くを歩いているおばさんに声をかける。「あのー。見学してみたいのですが、突然来てしまってすいません。喜界島に来て、是非是非喜界島酒造さんには行ってみたいと思っておりまして思わず来てしまいました。」「ちょっとお待ちください。お?もしかしてあなたは、メールをくださった方ですか?今そのメール開いたところなんですよ。返事を書くのが遅れてごめんなさい。」「返事は今直接で構いませんよっ!」事務所には笑いが広がった。見学の許可はもらった!事務所の隣の工場にに案内してもらう。「こんにちは〜!」「こんにちは〜!」従業員の方達はみな明るく元気がよい。挨拶が小気味良い。嬉しくなっちゃう。工場は古い建物であったが、きちんと整頓されていた。 タイ米の袋が積まれている。大事な原料だ。階段をトントントンと上って行き、蒸し機を見せてもらう。2つあったのだが、1つはやたらにデカイ。初めて見る大きさだ。「この蒸し機は一度に4トンの米を蒸せるんですよ。」「よ、4トン!すごいですね。」どうも、喜界島の焼酎は昨今なかなか良い感じらしい。 |
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階段を降りると、一次発酵の樽が数十個並ぶ。狭い入り口をヨイセっとくぐる。立体迷路のようだ。グツグツと泡が出ている。まだ黒糖が入っていないので甘い香りはしないが、程よいアルコールの香りにクラッと来る。麹を入れて1日〜2日くらいが、最も反応が激しく泡立ちも活発である。おいしそうだ。このように、泡立つ樽を見ながら過ごすのも良いかもしれない。もちろん普段の世話は大変だと思う。 |
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| ちょっと部屋を戻って、2次発酵の樽へ。黒糖がまざりまた良い感じである。この頃はアルコール度数も高く43〜44℃はある。「ここで0℃近くまで冷やして濾過するんですよ。」と、説明してくれたお兄さんが一言。「ひ、冷やす?」 普通、酒を発行させている間は、麹の働きが活発になるよう、おおよそ人肌の温度にするものである。最後の行程に、冷やすとは、知らなかった。「まあ、このやり方は他ではあまり聞かないんですけれどね。。。余分な油分がとれてまろやかになるんです。」 焼酎作りは、本当に奥が深い。 | |
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ひと通り見学も終わり、ちょっと会話に間が空いた。「試飲でもしてみてください」「えっ!い、いいんですかぁ?!」 雰囲気的にすごく期待できたが、待っていた一言が聞けた。 「ええっと、じゃああの奥の机で。椅子もあるので待っていてください。」と、工場奥の黒糖やら完成した焼酎がごっちゃと置かれている一角の事務机へ。 |
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奥にはスチール製の事務机とこれまたスチール製のイス。 「座って待っていてください」の言葉に甘える。イスを引くと「キキーッ」とイスの車輪の錆びた音。 2分も待たないうちに、お兄さんが焼酎を数本持って来た。 「三年寝太蔵」「せいら」をまず試飲する。「三年寝太蔵」はいわゆる古酒(こしゅ)であり味がまろやかである。黒糖焼酎独特の、鼻に入ってくる甘く かつ アルコールのツンとする香りが混じり合って心地良い。飲む前から酔いそうである。非常にまろやか。舌に絡みつく黒糖のざらつき感がこれまたたいそう良い。"ざらつく粒子が丸くて小さい"とでも表現すれば良いのだろうか。 そして次に出てきたのが「喜界島」おなじみの酒だ。 またラベルがおしゃれな「せいら」、シェリー樽で寝かせた「kidd(きっど)」というものも飲ませてもらった。最近このような「シェリーやオークの樽で寝かせてあまい香りをつけた(そして色も薄い琥珀色)焼酎を見るようになった。八丈島・坂下酒造の「ジョナリー」(リンクあり)もしかりである。 このような酒は、毎日飲むには少し飽きがくるが"そろそろ満月になろうかという月の出る夜に2Fのテラスを望む書斎で、1時間程度の書き物を終えた後 椅子の背もたれを少し大きく傾けて、氷を一つだけ入れたグラスで舌を濡らすようにして飲む" にはベストな選択だと思う。 そんな書斎も椅子もないけど。 |
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「こちらでは、普段どういう飲み方をするんですか?」「今の季節は寒いのでお湯割りでしょうかね。ロック、水割りももちろんありますが。」お湯割りだと黒糖の香りがよりいっそう高くなりおいしいそうだ。「これなんかは、もったいないのでやはりロックでしょうね。」と三年寝太蔵を指さしつつ語るお兄さん。なるほど。 次々と運ばれてくるビン。グラスの数よりもビンの数が多くなってしまった。つまり、グラスの焼酎を飲み干さないと次の焼酎を飲むことができない。 飲むペースが速まる。「生産量は増えていますか?」「ここのところ焼酎ブームですし、奄美のも注目されてきているし、生産量は上がってきています。」喜ばしいことだ。黒糖焼酎は奄美地方でのみ製造を許された焼酎だ。地元で親しまれている味だ。 少しよろけつつ見学を終え、事務所に戻る。お礼を申して辞そうと思ったところ、「お座りください。社長を呼んでまいりますので。」「え〜!は、はい」おとなしく待つと、元気のよさそうな方とさっき「メールの返信が遅れて・・・」とおっしゃっていた方が私の前に座った。お二人はなんと喜界島酒造の社長と副社長なのであった。ひとしきり会話が弾む。 「なんで島が好きなんですか?」この質問、答えるのに非常に窮する。一言で言えば、「楽しくて日常を忘れられるから」とでも言えるのかもしれないが、具体的には島の人たちの日常に入っていくのが楽しいのだ。観光ポイントを見るのは無論のことだが、島の人たちと会話をするのが心地よい緊張感と新しい発見といくつもの感動、新たな経験と知識を私に与えてくれ非常に楽しいのだ。しかし、島の人たちにとって大変なことがあっても旅人である自分にとっては楽しいと感じる部分もあり得る。所詮は一塊の旅人でしかない。打ち解けているようでも住人と旅人。こういうところもひっくるめて一言「楽しい」と言い切るまでの度胸は私にはまだないのだ。 2秒ほど頭を巡らせた末の私の答えは「自然も綺麗だし、お酒もおいしいし!」という当たり障りのない答えであった。この話題はここで終わった。 「おみやげに是非買っていきたいのですが。」と言うと、社長は「それはありがたい。是非、町のお店で買ってください。」とおっしゃる。意外だった。 酒造で買えば安く買えるかもしれないという気持ちが2割程ありまた、見学させていただいた感謝の気持ちが8割ある。 でも社長は「是非 島のお店で買ってください。同じ値段だから。島全体が潤うから。」ときっぱり。 このように言われたのは初めてであった。 最近は黒糖焼酎も生産が増えているそうだ。東京・汐留にある「SHOCHU AUTHORITY(しょうちゅうおーそりてぃ)」という店にも出荷しているそうだ。 昔 島には多くの酒造所があったが減ったり統合したりで現在はこの喜界島酒造と、朝日酒造の社になっている。どの島でもそのような経緯があるようだ。人手が足りなくなってきているのもあるのだろう。 基本的には色々な年代をブレンドした製品を製造しているこの喜界島酒造さんの焼酎を「是非買って行きますよ!」と固く約束して、工場を後にした。 「心地酔い」であった。 |
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宿泊は「ぎなま荘」。素泊まり3,500円が決めてであった。いつものパターンで行くと、夜の飲みで出費がかさみ、1泊2食付5,000円より高くつきそうだ。。。 |
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旅行記その3へ |
| 旅行記(その1) (1日目)出発。朝日酒造。 | |
| 旅行記(その2) (1日目)役場。喜界島酒造。 | |
| 旅行記(その3)夕食。だいせん。 | |
| 旅行紀(その4) (2日目) 喜界島1周。 | |
| 旅行紀(その5) (3日目) 朝日と島探検。 |
| リンク集 |